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    植木行宜氏講演会 レジュメ

     

    重要無形民俗文化財について     2010・8・1(植木行宜)
     
    1,民俗文化財とは
     民俗 風俗や慣習として伝えられ行われる文化
         日本の基層文化・庶民の生活の変遷や文化を考えるかけがえのない資料
       無形と有形 祇園祭の山鉾行事(無形)それに関わる物=山鉾や器具など(有形)
     
    2,現在の指定制度
     資料的価値が高く重要なもの=重要無形民俗文化財に指定・保護をはかる
     
    s50年の文化財保護法の大改正で制定
     
    ・風俗習慣と民俗芸能に大別して指定 現在264件            
      滋賀県3件 「近江中山の芋くらべ」「三上のずいき祭」「長浜曳山行事」
       いずれも風俗習慣……京都府10件(風俗習慣2・民俗芸能8・六斎念仏・壬生狂言)
     山鉾屋台の祭=32件
     
    3,指定のしくみ
     文化庁 候補(指定調書)の可否を文化財保護審議会に諮問→答申を得て指定
         候補の選定=学術的な評価・保護の緊急性
     
    評価の根拠・資料の整備が前提
      長浜の場合(s54に無形指定)有形指定を国に要望←市による資料整備の指示
        調査団を編成(歴史・民俗・建築等の研究者15人)。
         h3〜7の5ヵ年計画で総合調査
        ・記録(調査報告書)を作成。提出
      山・鉾・屋台等は行事(無形)指定に一本化(山鉾等の有形指定はしない)。
       有形指定の保護施策を無形指定に適用。    
     
      その後の指定
        上野の天神祭のダンジリ行事 h14
        犬山祭の車山行事 h18
        桑名石取祭の祭車行事 h19
      自治体(主導)による調査記録の作成
      調査官の現状確認(これらの取り組みに現れる地元の熱意を重視)
      ・その成果をもとに指定の可否を判断・措置するという方式
     
    4,指定にともなう保護施策
      A 祭りの執行に不可欠な物(有形)の修理・新調に対する助成
      B祭りに関わる芸能や技能の継承事業に対する助成(事業費の50ぶ)
        特別な出費をともなう事業を対象
       祭りの実施など経常的経費は対象外→観光サイドによる助成は別
          伝承者の意欲なくしては存立しえない無形文化財の特質に対応
     
      祇園祭山鉾行事 50%を3等分 府・市が各1/6補助 保存会負担は1/6
     
    私見・大津祭の曳山行事は指定に値する重要な伝承、指定による保護の推進が急務