1−1 北川家住宅主屋
江戸末期[推定]
木造2階建、瓦葺、建築面積 209.95㎡
内部に江戸期の大津の町家の構造を残し、明治中期の優れた大工横井勝治郎棟梁の貴重な遺構で、通りに面した表構えは、1階部分の格子に明治中期の意匠を残しながら、昭和初期の意匠を取り入れた3つの時代にまたがる建造物です。
1−2 北川家住宅土蔵
江戸末期[推定]
土蔵造2階建、瓦葺、建築面積 37.55㎡
通りから望見できませんが、主屋と共に、江戸末期の大津の町家の特徴を残す土蔵です。
2−1 佐野家住宅主屋
天保9年(1838)[鬼瓦銘]
木造2階建、瓦葺、建築面積 100.00㎡
ザシキまわりは質が高く、当時の大工の粋や、多くの絵師文人などのパトロンだった大津の町衆の文化レベルの高さが偲ばれる江戸末期の町家で、通りに面した外観は、昭和初期の意匠を維持しており、通りの町並み景観を特徴付ける重要な建造物です。
2−2 佐野家住宅土蔵
江戸末期[推定]
土蔵造3階建、瓦葺、建築面積 19.82㎡
主屋のオクザシキからの眺めを意識し、格調高い意匠の土蔵で、大津旧市街地では数少ない3階建。町家の主屋と土蔵は、ハレの支度、祭のしつらえの保管場所という不可分の関係ともいえます。
3−1 初田家住宅主屋
江戸末期[伝承]
木造2階建、瓦葺、建築面積 121.06㎡
内部は生活にあわせて、元の構造を残しつつ、古いものを覆うという手法でかなり手が加えられていますが、江戸末期の町家の構造、意匠を保存しつつ、通りに面した外観は、昭和初期の意匠を維持しており、角地にあたる通りの町並み景観を特徴付ける重要な建造物です。
3−2 初田家住宅土蔵
江戸末期[伝承]
土蔵造2階建、瓦葺、建築面積 28.61㎡
格調高い意匠の土蔵で、町家の主屋と土蔵は、ハレの支度、祭のしつらえの保管場所という不可分の関係ともいえます。東通りからよく望見できます。
3−3 初田家住宅塀
江戸末期[伝承]
木造高塀、瓦葺、建築長さ 9.18m
中町通りの角地に建つ主屋と一体をなし、主屋の背面側には、塀越しに土蔵の屋根が見え、二方向道路に面する大津の町家の形式のひとつであり、町並み景観を特徴付ける重要な建造物です。塀により、町家の主屋と土蔵に一体感が生まれています。
4−1 桐畑家住宅主屋
明治中期[伝承]
木造2階建、瓦葺、建築面積 118.70㎡
明治中期の町家を、昭和初めの軒切りを期に、構造部を大改造の上、2階の高さを確保、本格的なザシキを設け、通りに面した外観には、当時の当主好みの特徴ある意匠が凝らされ、東隣の石田家住宅洋館と共に、通りの町並み景観を特徴付ける重要な建造物です。
4−2 桐畑家住宅離れ
江戸末期[伝承]
木造平屋建、瓦葺、建築面積 39.14㎡
内装はほとんど、変えられていますが、元の構造部を残し、保存されています。また、明治初期から中期にかけて、主屋のザシキ機能を担っていたものであり、江戸末期から明治期の大津の町家のひとつの形式として、主屋と切り離すことのできない建造物です。
4−3 桐畑家住宅土蔵
正徳6年(1716)[棟札]
土蔵造2階建、瓦葺、建築面積 38.23㎡
江戸中期の遺構で、民家建造物としては、非常に古く、かつ、ほとんど改造の跡もなく、米蔵としての元の意匠、構造をよく残しています。
5−1 石田家住宅洋館
昭和12年(1937)[設計図]
木造平屋建、瓦葺、建築面積 57.19㎡
洋館、奥の和館の主屋とも、大津市長等の大工木村政吉棟梁が設計施工。深緑色のスパニッシュ瓦に、薄桃色の建具の木枠、2階の中央部に小さなバルコニーがあり、手摺りが緑色で、外壁はセメントリシン系をグレーでまとめており、上品な色遣いが特徴的です。
5−2 石田家住宅主屋
昭和12年(1937)[設計図]
木造平屋建、瓦葺、建築面積 99.67㎡
昭和初期に、和館である主屋と洋館を、大津の地元の大工が同時に設計施工する知識を有していた証しのひとつとして価値ある建造物です。洋館の2階は和のしつらえと主屋の意匠と比較して、初めて、昭和初期の和と洋の住宅建築を理解することができます。